『宗教とは何か』テリー・イーグルトン著

ここ何年かマルクス主義批評家によるキリスト教に関する批評が出てきています。
アガンベンの『残りの時』や、アラン・バディウの『聖パウロ』。
そして遂に、わしも言うぞー!と大御所のテリー・イーグルトンが『宗教とは何か』(青土社)を出しました。テリー・イーグルトンは大英帝国マルクス主義者ですが、日本ではあまり馴染みがないようです。今回の本は講演録で読みやすいのでお薦めです。
科学万能主義による宗教(キリスト教)批判は全くの的はずれであり、しかし、それを的はずれたらしめるのは今日のキリスト教のだらしのなさに原因があり、本来のキリスト教はもっと革命的であったとゆう主張です(まだ全部読んでないけど、たぶんそんな感じ)。この主張は、批判的に聖書を読む、あるいは近代キリスト教を批判するキリスト者からすれば、とりたてて新しい主張ではないのですが、それをマルクス主義者が展開するという点において、日本のマルクス主義者の人びとには是非とも読んでいただきたいなあと思うのです。マルクス主義の背後に横たわるキリスト教、あるいはユダヤ教的な思考についてどう考えるかということです。